「なんで・・・そのことを・・・」
あくまで冷静にが問うと、顔―――ヴォルデモートがニヤリと笑った
『お前はさっき、箒が燃えたとクィレルに思わせておき、その間に鏡に向かった。そこで見つけたのだろう?その石を。さすがに、あのスピードならクィレルも気付かないわけだ・・・。さぁ、それを俺様に渡せ』
は無意識に右手でポケットに石があることを確認した
「・・・確かに石は持ってるよ・・・。・・・でも」
『・・・なんだ?』
「でも、死んでもあんたなんかには渡さない!」
Act.21 The end of the Stone
『・・・ほう』
ヴォルデモートはの回りに現れた緑色の光を楽しむような目つきで見た
それは、オリバンダーの店で見たものと同じものだった
「絶対に・・・渡さない!!」
銀色の翼のような光が、の体を取り巻いた
それを見たヴォルデモートの顔が、初めて引きつった
『・・・クィレル、服従の呪文をかけろ』
「!!??禁断の呪文を、ここで使うのですか!?」
『ああ。』
「・・・かしこまりました。」
「・・・アクシオ」
地面に落ちていた箒がの手にすっぽりと収まると、は痛みに耐えてそれに飛び乗った
だが、
「う・・・わっ!?」
やはり痛みが消えていないせいか、バランスが取れずにはその場に落ちてしまった
「あたたたたた・・・。」
「!?うわっ!?」
『ポッター、お前はそこでじっとしていることだな。』
ハリーの体は、何かに拘束されたかのように動かなくなってしまった
それを横目に、ヴォルデモートがを見たままでいられるように、クィレルが後ろ向きでに近づいた
は箒から落ちた際にポケットから飛び出した石を手で地面に抑えた
もう、握る力は残っていなかった
それを、ヴォルデモートが楽しむような目で見る
『・・・命を粗末にするな。俺様の側につけ』
「何回言わせるの・・・。あなたの仲間・・・に、な・・・る、つもりなん・・・か、ない・・・っていってるでしょ・・・」
『どうしてもか?』
「・・・当たり前・・・じゃん・・・」
『残念だ』
その瞬間、体に禁断の森の時と同じ痛みが走った
意識が遠のく
―――やば・・・っ
「・・・っ・・・」
痛みが消えたと思った瞬間、は意識を失った
はゆっくりと目を開いた
そして、すぐに目に飛び込んできたのは
「うゎぁああっ!!??」
「シーッ、シーッ!!!」
目の前にいたハリーが慌てての口を抑える
「ハリー!?ねぇ!!石は!?ヴォルデモートはどうなったの!?クィレル先生は!?ていうか、私生きてるっ!?生きてるの!?」
「ちょっと落ち着いてっ!!」
ハリーがの慌て具合を見て素早く回りを見回した
「ここは医務室だよ。運ばれてきたんだ、僕たち」
「その通りじゃ」
「ダンブルドア先生!」
少し離れた所からダンブルドアが姿をあらわした
後ろにロンとハーマイオニーがついている
「!意識が戻ったのね!」
ハーマイオニーがぱぁっと顔を輝かせての寝ているベッドの横まで走ってきた
ロンも安心したようにホッと息をつく
「あなた、一週間も目が覚めなかったのよ!すごく心配したわ!」
ハーマイオニーの言葉には恥ずかしそうに頬を掻いた
「いやぁ、二人とも意識が戻って本当によかった。ハリーは四日前に目が覚めたのだがのぅ。、君は何かの呪文をクィレルにかけられたようじゃな。精神状態が非常に不安定じゃった。疲労も随分たまっていたようじゃのぅ。」
「先生が助けてくれたんですよね?・・・ありがとうございました」
「いや。わしが来るまでの間、ハリーが君のことを庇いながら石を守ってくれたのじゃ。感謝するならハリーじゃよ」
「・・・はい」
はハリーに向き直ると、「ありがとう」と言ってにっこりと微笑んだ
ハリーは心拍数が一気に上がるのを感じた
「あ!そういえば、石はどうなったんですか!?」
が思い出したように言った
「ああ。石は―――もうハリーたちは知っているが―――壊してしもうた。わしとニコラスで相談してのぅ」
「じゃあ・・・ニコラスご夫妻は・・・」
がうつむいたのを見て、ダンブルドアは優しく微笑んだ
「・・・あぁ、死んでしまうじゃろう。だが、」
は顔をあげる
「―――あの二人にとって、『死』とは長い一日の終わりに眠りにつくようなものじゃ。次の大いなる冒険に過ぎないのじゃよ。」
はしばらく沈黙したが、ゆっくりと頷いた
ダンブルドアもそれを見てにっこりと頷く
「ああ、そうじゃった、そうじゃった。」
ダンブルドアは部屋のすみに魔法をかけた
次の瞬間、のベッドのすぐ横に山盛りのお菓子が現れた
「君の友人や崇拝者からの贈り物じゃよ。―――はて、わしが最初見たときに比べて量が減っているように見えるのじゃが」
その言葉に、ダンブルドアの後ろにたっていたロンの肩がびくりと震えた
それを見たは、面白いことを思いついたような表情をした
「ふーん・・・もしかして、この部屋の中にいる誰かが食べたのかも」
ハーマイオニーはの言葉にすぐピンと来たようで、ロンを睨んだ
ロンはジェスチャーで『ちょ・・・ちょっとだけだよ!』と伝えようとしているようだった
「あ、後、二つ質問していいですか、ダンブルドア先生?」
「なんじゃ?」
「えっと・・・私はどうやって石を手に入れたんですか?鏡の前に立っただけなのに・・・」
「ああ、それはじゃな」
ダンブルドアはコホンと咳払いをした
「あの鏡は、石を見つけても使おうと思わない者のみに石を与える。利用しようと思う者が鏡の前に立っても、そこにうつるのは、黄金を作ったり、命の水を飲んでいる自分だけなのじゃ。我ながら素晴らしいアイデアだと思う」
ダンブルドアの言葉には小さく笑った
「もう一つだけ質問します。その・・・、まだ、ヴォル・・・『例のあの人』が・・・」
「、これはハリーにも言ったがの、名前で呼ぶのじゃ。名前を恐れていると、そのもの自身に対する恐れも大きくなる。・・・君の質問しようとしていることはわかる。・・・そうじゃ、残念だがまだ彼が戻ってくる方法はある。」
途端に、部屋がシーンと静まりかえった
みんな深刻そうな顔をしていた
「じゃが、君たちの活躍のお陰で、彼の復活を少なくとも引き伸ばすことはできたのじゃ。感謝する。ありがとう。」
「そ・・・そうだよ!元気出しなよ、。」
ロンが励ますように言った
「そうじゃ、そんなに深刻になるでない。まだ時間はたっぷりある。さて―――」
ダンブルドアは積み上げられたお菓子の中から一つをつまみだした
「『バーティー・ボッツ』の百味ビーンズじゃの。わしは若いころ、ゲロ味に当たってしまっての、それ以来このまんようになったのじゃが・・・これなら大丈夫そうじゃ」
ダンブルドアはニコッとすると、茶色のビーンを口に放り込んだ
「おぉ、なんと、耳くそ味じゃ。」
ロンがふきだした
ハーマイオニーも笑っている
ダンブルドアの言葉をきいて、元気がなかったも、少し回復したようだった
あとがき
めちゃめちゃ更新遅れました・・・
しかも短い、っていう。。。
本当に本当にすみませんm(__)m
ヒロインはハリーより遅れて目が覚めたということになっているので、
ハリーとダンブルドアの会話はまるまるカットです
もし伏線があるなら、後々なんとかします(ぁ
多分、賢者の石は次で完結します
では、ここまで読んで下さってありがとうございました!
2007.1.11 晴天マユミ
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