いよいよ十一月に入った。
クィディッチ・シーズンの到来だ。
Act.13 Quidditch
夜があけた。
は殆ど興奮で眠れなかった。なにしろ今日は初めてのクィディッチの試合だ。
空は綺麗に晴れ渡っていた。クィディッチにはもってこいの天気だ。
朝食の時間、大広間はざわめきで満たされていた。
ハリーはフォークを持って皿のベーコンをスパゲティのようにまいていた。
それを心配そうに見るロンとハーマイオニー。
「ハリー、少しでも食べないと。はちゃんと食べてるわ」
「おなかすいてない。」
ハリーはふー、と息をついて天井を見上げた。
「健闘を祈る」
いきなり後ろから声を掛けられてはびくぅっ!と動いた
スネイプだった。
「いいプレーを期待している。例え君が・・・敵であったとしても」
「はい!がんばります!!」
はトーストを口にくわえたままモゴモゴ言った
スネイプはマントを翻して歩いていった
ハリーがそれを目で追う
「僕、わかった!!」
突然言った
「いいかい、ハロウィーンの時、スネイプは他の先生がトイレに向かっている間、一人でどこかへ行ったんだ。多分、あの立ち入り禁止の廊下だったんだ。その中に隠されてる何かを、スネイプは狙ってる。多分あの犬にかまれたんだよ。足を怪我してた。」
ロンもハーマイオニーもそれは納得できる、と相槌をうった
「はどう思う?」
「私は―――」
一旦言葉を切る
「違うと思う。なんか、違う。」
の答えを聞いた三人は顔を見合わせた
十一時には学校中がクィディッチ競技場の観客席につめかけていた
更衣室では選手たちがクィディッチ用の真紅のローブに着替えた
もそれを着た。サイズはぴったりだ。
「そろそろだ」
ウッドが声をはりあげた
はサンダー・ウィザードを、ハリーはニンバス2000を手にとり、グラウンドへ続く道へ出た
シーカーのは、ウッドと並んで、最前列で歩いた
会場の歓声が近づくにつれ、箒を持つ手に力が入る
「怖いのか?」
ウッドが気持ちを察したように言った
「うん。でも楽しまなきゃ!」
「その調子だ。クィディッチは最高のスポーツだ。楽しまなきゃ損だ!」
目の前にかかっていた布のようなものがひらけ、は箒にまたがり、ウッドに続いてグラウンドに出た
そして驚いた
まわりの観客席は、満席だった。
グリフィンドールの一年生が
『&ポッター 最強の一年生!』と掲げているのを見て、少しはずかしくなったが、勇気がわいてきた
フーチが会場の真中にあのウッドが見せてくれた箱を持ってきた
「正々堂々、戦いましょう。」
まずは金のスニッチを放ち、その後暴れ球が空高くへ飛び上がった
そしてクアッフルを投げ・・・
「試合開始!!」
実況放送をしているリー・ジョーダンがマイクに向かって大声で言った
途端に選手が目の前をハイスピードで通り過ぎた
一陣の風。気付いた頃には、グリフィンドールが先取点をとっていた。
グリフィンドールからわーっと歓声があがる
スリザリン生はがっくりと肩を落とした
は上空を飛び回り、スニッチを探した
ときどき下に目を向ける。ハリーはもう慣れたようで、丁度ゴールにボールを投げた所だった
「グリフィンドール、十点!!」
ジョーダンがまたしても声を張り上げた
は嬉しさのあまり箒から手を離して拍手してしまい、危うくブラッジャーに衝突される所だった
方向を変えて、再度スニッチを探した
そのとき、顔の横を金色に輝く何かがかすめた
―――スニッチだ!!!
は急降下した
スリザリンのシーカーのヒッグズもそれを見てスニッチに気付いたようだ
だが、のスピードの比べれば、宙に浮いた風船のようなものだった
は雷のように―――まさに箒の名と同じ、雷のように飛んだ
スニッチまでもう少しだ。
もう少し―――
もう少しでつかまる・・・というそのとき、いきなり左手に激痛が走った
「っ!!」
はバランスを崩した
そのすきに、スニッチはどこかへ消えてしまった
ヒッグズもスニッチを見失ったようだった。
しょうがなく上に戻ろうとする間に、はハリーの異変に気付いた
正確にはハリーの箒だ。不自然に動いている
変だ、とは思った。
観客席に目をやる。どこも異常はない。
―――いや、違う。
スネイプ先生が口で何か呪文のようなものを唱えている
ってことは、あの異常は・・・呪文のせい?
でも・・・スネイプ先生がそんなことをするはずは・・・
観客席に目を向けたまま、は自然を装ってハリーの前に出た
もしあれが闇の魔術なら、ずっと目を向けていなければ呪文はかからないはずだ。
またしても左腕に激痛が走る
頭の中に声が響く
――――――そこをどけ、・・・、俺様はお前を殺すつもりはない――――――
――――――誰なの・・・?――――――
も頭の中で言った。何が起こっているのかよくわからないが、今はこの方法しかない。
返事はなかった。
観客席から悲鳴があがった。
ハーマイオニーがスネイプのマントに火をつけたのだ。
横の女の観客が気付き、キャーッと悲鳴をあげた。
スネイプは慌てて立ち上がり、足でマントを踏んで火を消した。
ハリーの箒は正常に戻った。
バランスを整えると、一人で誰にも気付かれずに点を稼いでいるフリントに真っ直ぐ向かっていった
の左手の痛みも消えた。
は上昇して、グラウンド全体を見回した
ハリーのもっているクアッフルの横で何かが光った。
今回は、ヒッグズが先に気付いた
とは逆の方向からスニッチを追いかける
も急降下した。
スニッチは自分よりずっと下だ。
もっとはやく・・・はさらに前かがみになった
向こうからヒッグズがやってくる・・・
―――ぶつかる!!
そう思ったとき、スニッチが急に進行方向を変えた
反応はの方がはやかった
スニッチは自分の真下にある。
足を箒にかけ、一回転する
天と地がまっさかさまになる。
手をできるだけスニッチの方にのばす
戻った時、右手の中で何かが動いている感覚がした
「おっと?スニッチはどこだ?」
ジョーダンが言った
は右手をひらいた。
その手にはしっかりと―――金のスニッチが握られていた
それに気付いたジョーダンは、大喜びで立ち上がって試合結果を叫んだ
「取りました!!!グリフィンドールのシーカー、・が取った!!!試合終了!210対60でグリフィンドールの勝利!!!」
会場が一瞬静まり、次の瞬間には大きな歓声があがった
試合が終わった後、ハリー、ハーマイオニー、ロン、はハグリットの小屋にいって、濃い紅茶を入れてもらった
ロンはまだはすごいだの、天才だのとつぶやいていた
よほどさっきのスニッチの捕まえ方が衝撃だったのだろう。
「スネイプだったのよ」
ハーマイオニーがぶつぶつ言っているロンを横目に言った
「ロンも私も見たわ。ハリーの箒に呪いをかけてた。ずっと目を離さずにね」
「バカな」
ハグリットは自分のすぐそばの観客席でのやりとりを試合中一言もきいていなかった
ハリーは本当のことを言うことに決めた
「僕もスネイプについてしっていることがあるんだ。あいつ、ハロウィーンの日、三頭犬の裏をかこうとして噛まれたんだよ。きっとあの犬が守っているものを狙ってる」
ハグリットは衝撃でカップを落とした
「なんでフラッフィーを知ってるんだ?」
「あの犬に名前があるの?」
やっとぶつぶついうのをやめたロンが言った
「ああ、俺の犬だ。去年、パブで会ったギリシャ人のやつから買ったんだ―――ダンブルドアに貸した・・・守るため・・・」
「何を?」
ハリーが身を乗り出した
ハグリットはしまったと言う顔をして、口を大きな手でふさいだ
「これ以上きかんでくれ!頼むから!」
「でも、スネイプがそれを盗もうとしたんだよ」
「スネイプはホグワーツの教師だ。そんなことをするわけがなかろう。」
「ならどうしてハリーを殺そうとしたの?」
ハーマイオニーが口を挟んだ
「呪いをかけるには、じっと目をそらさずに見つづけなければいけないの。スネイプは瞬き一つしなかったわ。」
「じゃあ一つきく」
ハグリットは顔をハーマイオニーに近づけた
「もし、スネイプが呪いをかけたのなら、どうしては狙われなかった?スネイプからすれば、ハリーもも同等の扱いになるはずだ。ハリーが邪魔なら、も邪魔なはずだろうが。」
「でも、私、ハリーが呪文をかけられているときに、頭の中で声が響いた。『俺様はお前を殺すつもりはない』、って。」
と、が言った
「とにかく、お前さんたちは関係ないことに首をつっこんどる。あれにかかわっていいのは、ダンブルドア先生とニコラス・フラメルだけ・・・」
ハグリットは慌てて口をふさいだが、ハリーは聞き逃していなかった
「ニコラス・フラメルっていう人が関係しているんだね?」
ハグリットは、口が滑った自分自身に強烈に腹をたてているようだった。
「ニコラス・フラメル・・・」
ハリーはもう一度呟いた
ハグリットはバツの悪そうな顔でそれを見ていた
あとがき
わぁー・・・。。。ハグリットの言っていることにかなり矛盾が・・・
なんか・・・日本語(英語?)になってないような・・・
丁度テレビがついてて集中できなかったのです・・・
申し訳ありません。。。
後・・・『俺様』っていうのでみなさまは誰だかおわかりになると思いますが・・・
これはたんに、管理人が『わし』より『俺様』の方がいいなぁ・・・とか思って変えました。。。
では、ここまで読んで下さってありがとうございました
2006.7.4 晴天マユミ
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