「そういえば」
がハロウィーンの朝、妖精の魔法の授業に行く間に切り出した
今日はハーマイオニーと一緒にいない
「ここにきて、もう二ヶ月も経つんだよね・・・。・・・やっぱ夏休みには、ダーズリーの所に帰らなきゃ、いや、行かなきゃいけないのかなぁ?」
ハリーからは言葉の代わりにため息がかえってきた
Act.12 Hallowe'en
この日の妖精の魔法の授業で、フリットウィックがそろそろ物を飛ばす練習をしましょうといった
は初めて本格的に自分の杖をつかう時が来た!とはりきっていた
先生は生徒を二人ずつ組ませて練習させた
はハリーと組んだ。
ロンはハーマイオニーと組むことになった。
「なんか・・・ハリー、あそこ雰囲気悪くない?」と。
返事に困ったハリーは、はははと乾いた笑いを漏らした。
フリットウィックがキーキー声で言った
「さぁ、まず杖のふりかたから、いいですか、ビューン・ヒョイ」
先生が積み重ねた本の上で見本を示した
「さぁみんなで・・・ビューン・ヒョイ」
みんなが声を揃えると、フリットウィックは満足そうに笑顔になった
「よろしい、よろしい。では呪文を。ウィンガーディアム レヴィオーサ。ではやってみましょう」
は呪文を唱えて杖をふった
驚いたことに、羽はすぐふわりと浮かんだ。
フリットウィックが叫んだ
「すばらしい!みなさん、みましたか?Ms.がやりました!グリフィンドールに5点!」
「、君ってすごいよ!」
ハリーが驚いたように言った
向こうでは、ロンとハーマイオニーが怒鳴りあっていた
ロンがウィンガディアム・レヴィオサーと言って、杖をめちゃくちゃに振ったのが理由だった
「いい、ウィンガーディアム レヴィオーサよ!?あなたのは、『レヴィオサー』!」
「そんなに言うなら、君がやってみろよ。ほら、どうぞ?」
絶対出来るはずがない、という顔をしてロンが言った
ハーマイオニーはコホンと咳払いをして、杖を持った
「ウィンガーディアム・レヴィオーサ!」
綺麗にビューン・ヒョイとふると、羽は机を離れ、頭上1・2メートルぐらいのところに浮いた
ロンはばつの悪そうな顔をして、机につっぷしった
「オーッ、よくできました!」
フリットウィックが叫んだ
シェーマスは、二人に負けじまいと杖を振った
「ウィンガー・ドラヴィオーサ!!!」
「すばらし・・・」
フリットウィックの言葉が終わる前に、ドンという大きな音がして、爆発した
被害を受けながら、ハリーは冷静だった
「先生・・・新しい羽が・・・必要みたいです。」
もっとも、口はあんぐりと開いていたが。
クラスが終わった後、ロンはハーマイオニーの真似をしてみせた
「『いい、レヴィオーサよ、あなたのはレヴィオサー!』・・・まったく嫌味なヤツだよな。あいつって。だから友達ができないんだよ。」
すると、誰かがハリーにぶつかり、追い越していった。
―――ハーマイオニーだ。泣いている。
「今の、聞こえたみたい。」
「知るもんか。」
その後から真っ黒い髪の少女が通り過ぎた
ハーマイオニーを追っている。
その少女――はふり返った
「ロン・・・君って最低。」
ロンをにらんでいい残し、は早足でハーマイオニーを追った
さすがにロンも、バツの悪そうな顔をした
ハリーとロンは、結局、その日の午後、一度も二人を見なかった。
『グリフィンドールの優等生』と名が知れている二人が、両方授業を無断欠席したことで、先生は全員心配していたし、そのたびにロンはなんどもバツの悪そうな顔をした
大広間に向かう途中ハリーはついに気になってロンに言った
「僕、さっきパーバティ・ラチルが話しているのを聞いたんだ。ハーマイオニー、トイレに閉じこもって泣いてるらしいよ。も一緒にいるっていってたし。」
ロンは何も答えなかった
「ハーマイオニー!」
はトイレのドアを何度も叩いた
数時間前からずっとこの調子だ。
「ハーマイオニー、出てきて。話しよう。」
何の反応もない。
「ねぇ。ロンも・・・、ちょっと呪文に失敗してイライラしてただけだよ、きっと。」
「・・・・・・。」
「ハーマイオニー?」
突然、ドアがパッと開いた
はいきなりのことに反応できず、ドアに思いっきり頭をぶつけられ、数歩後ずさりした
「・・・いったぁぁ・・・・」
ハーマイオニーは無言でに抱きついた
「、やっぱりあなたが一番の友達ね・・・」
「そういってもらえると嬉しいよっ!」
わざと軽く言った
ハーマイオニーはぎゅーっとしがみついてくる
「うっ。ちょっと、息が!!」
「あ、ご、ごめんなさい!」
ハーマイオニーはやっと自分が何をしていたか気付いた。
「だ、大丈夫。じゃあ、大広間に行こうよ!今日はご馳走だから!」
「・・・ええ。そうしましょう。」
二人が歩き出した瞬間だった。
地面が大きく揺れた。
バランスを崩しそうになったが、なんとかふんばった
「・・・あれ・・・!!」
ハーマイオニーが目の前の壁を指差した
大きな影が映っていた。
二人はおもわず後ずさりした。
それの本体が姿をあらわした
恐ろしかった。背が約四メートル程あり、小さい頭が上にちょこんとのっかっていた
「トロール・・・!」
本で読んだことがある。
でもなんで自分ひとりでこんな所に入って来れたんだろう。
でも今はまず身を守らなきゃ!
は反射的に杖を取り出した
「ハーマイオニー、下がって!!」
ハーマイオニーは戸惑った。今杖を持っていないから、自分の力ではなんとも出来ない。
でも一人残すのは・・・・・・
「はやく!!」
が叫んだ瞬間には、トロールが手に持った棍棒を振り落としていた
それをギリギリにかわして、トロールの後ろに回りこんだ
「こっちだよ!こっちこっち!」
ハーマイオニーから注意を逸らすように、が大声で叫び、杖をふりあげた
ハリーとロンは女子トイレのドアへ全力疾走していた
ハリーがドアをあけ、二人はトイレへ飛びこんだ
トロールに隠れて見えないが、誰かが戦っているのがわかった
ハリーとロンは無我夢中でそこらへんに落ちている破片を拾って投げた
トロールがこっちに向いた―――その時に見えた
が戦っている!!!
ハーマイオニーは壁にはりついて縮こまっていた
はトロールが向こうを見たとき、チャンスとばかりに杖を振った
「ステューピファイ 麻痺せよ!!!」
が叫ぶと同時に、杖の先から閃光が飛び出す
トロールは一瞬止まり、その場に倒れこんだ
「・・・その呪文は・・・?」と、驚いたようにハリーが言った
「この前本で読んだ。試したことはなかったんだけど・・・、効いてよかったよ。」
杖をポケットにしまう
その時に、トイレののドアが開いた
真っ青な顔をしたマクゴナガルが立っていた。後ろからスネイプとクィレル。
「いったい全体、どういうつもりなんですか。一年生で野生のトロールを相手にして、生き残れるものなど、そうそういません!」
マクゴナガルが冷静だが、怒りに満ちた声で言った
ハリーはうつむいた。スネイプはハリーにすばやく鋭い視線を投げかけた。その後でをチラリと見ると、また視線を元に戻した
「寮にいるべきのあなたたちがなぜここにいるのです!?」
「違うんです、先生」
暗がりからハーマイオニーの声がした。
やっと動けるようになったようだ。
「私が―――トロールを探しに来たんです。その時にが来て・・・、そんなことはやめた方がいいと言ったんです。私はその忠告をききませんでした。」
三人は驚いた。
ハーマイオニーが嘘をついている?
「でも、実際にトロールを見るとどうにもできなくて・・・。がかわりに戦ってくれたんです。その後にハリーとロンがきました。三人がいなかったら・・・、今ごろ死んでました」
マクゴナガルは険しい表情でハーマイオニーを見た
「ミス・グレンジャー・・・あなたには失望しました。グリフィンドール五点減点。」
ハーマイオニーはうつむいた。
マクゴナガルは今度はハリー、ロン、に顔を向けた
「あなたたちも、運がよかった。でなければ死んでいました。よって三人に―――」
三人は減点を覚悟した
「―――五点ずつ差し上げます。・・・その幸運に対してです。」
三人は予想していなかった展開にとまどったが、ホッと胸をなでおろした
そして寮に戻ろうとした
「。あなたは残りなさい。三人は先に帰りなさい」
トイレを出ようとしたはふり返った。
三人に先に行ってて、と目で合図を送ると、もといた場所に戻る
マクゴナガルがきりだした
「この呪文は・・・麻痺呪文ですね?どこでこれを?」
「本で読みました。咄嗟に思いついた呪文がこれだったので・・・」
「・・・そうですか。行ってよろしい」
マクゴナガルは難しそうな表情をした後、に言った
はトイレを離れた。
その後に、トイレの中で先生たちがヒソヒソ話しているのが聞こえた
談話室に戻るとハリー、ロン、ハーマイオニーが扉の前で立っていた
気まずい沈黙。
はそこに飛び込んだ
「ハーマイオニー!ありがとう!言い訳してくれてなかったら・・・、きっと大変なことになってた」
の一言がきっかけで、三人とも顔を見ずにありがとうとつぶやいた
あとがき
ヒロイン・・・すごいなぁ・・・(何を今更
ソウイウ人ニ、ワタシハナリタイ。(謎)
では、ここまで読んでくださってありがとうございました
2006.6.30 晴天マユミ
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