七十三番金庫から持ってきたあの汚い小さな包みがどこにあるのか、
昨日のことで僕はわかったような気がした
Act.11 Thunder Wizard
次の日、ハリーとロンが疲れた様子で、でも上機嫌で、まだホグワーツにいるのを見てマルフォイは自分の目を疑った。
朝になって見るとハリーもロンも、あの三つ頭の犬に出会ったことがすばらしい冒険に思えたし、次の冒険が待ち遠しい気持ちになっていた。
一方、ハーマイオニーの不機嫌さはまだ直らないらしく、それをなだめるは大変だった。
ハリーとロンとはもう口をきかないと言い出して、は少し焦った
ハーマイオニーは仕掛け扉の下に何が隠されているのかまったく興味をしめさなかった
一緒に何があるのかを推測しようとしたは、がっくりしてしまった
ハーマイオニーとハリー、ロンが口をきかないまま一週間が過ぎた
いつものようにふくろうが群れをなして大広間に飛んできた。
六派の大コノハズクがくわえた二本の細長い包みがすぐにみんなの気をひいた
驚いたことに、コノハズクはハリーとの前に大きな包みを落とし、が今まさにデザートをとろうとしていた皿がひっくりがえって落ちた
その上に、もう一羽が手紙を落とした
包みをここで開けないように
中身はあなたのあなたのお母さんが自分で開発した箒です
名前はないので、自分でつけてください
スピードと操縦性に関して、これにまさるものはないでしょう
あなたが箒を持ったとわかると、みんなが欲しがるので、気づかれないように
今夜七時、クィディッチの競技場でウッドが待っています
ポッターと一緒に行きなさい。最初の練習です。
M・マクゴナガル教授
「ニンバス2000だって!僕、さわったことさえないよ」
隣ではロンがうらやましそうにうなっていた
「のはなんだったの?」
「私のお母さんが開発した箒だって。よくわかんないけど・・・。ねぇ、これから談話室にいってみてみない?」
「ナイスアイデア!!」
一時間目が始まる前に三人で箒を見ようと、急いで大広間を出たが、玄関ホールの途中で、クラッブとゴイルが寮に上がる階段の前に立ちふさがっていた
マルフォイがハリーの包みをひったくって、中身を確かめるようにさわった
「箒だ」
マルフォイはねたましさと苦々しさの入り混じった顔つきで、ハリーに包みを投げ返した
「今度こそおしまいだな、ポッター。一年生は箒を持っちゃいけないんだ」
「でもなんかねー」
が口を挟んだ
「私たちは、マクゴナガル先生の特別措置らしいの。だからOK!!・・・だと思う。多分」
語尾が小さくなった。
マルフォイに言われて少し自信をなくしたようだ
「君たち、言い争いじゃないだろうね?」
フリットウィックが現れた
「先生、ポッターのところに箒が送られてきたんですよ」
わ、私は?とは首をかしげた
もしかして、気づかれてなかった・・・とか?
「いやー、いやー、そうらしいねー。マクゴナガル先生が二人の特別措置について話してくれたよ。(は忘れられてなくてほっとした)ところで、何型かね?」
「ニンバス2000です。のはお母さんが作ったものだそうです」
「あー、あれかね」
フリットウィックは一人でうなづいた
「君のお母さんの活躍はこの目でしかと見させてもらったよ。実にすばらしいシーカーだった。いや、ジェームズもそれに引きは取らなかったがね。でも、あの飛びはすばらしかったよ。箒も、毎回見直して、弱点を直していたらしいからね。彼女の試合は何回見てもあきなかった。君もそんな選手になれるように期待しているよ」
先生はの肩をポンポンと叩いて、大広間に戻った
「マルフォイ、お礼を言わせてもらうよ。君のお陰で、クィディッチの選手になれたんだからね。」
マルフォイは怒りと当惑を剥き出しにした顔をした
ハリーは一日中授業に集中できなかった
はきちんとノートを取っていたものの、いつものように頭が冴えず、初めて一日中、各教科でグリフィンドールの点を一点も取らなかった
夕食は何を食べたのかわからないままのみこんで、三人は一緒に寮にかけもどり、ようやく箒の包みをといた
「うっわぁ・・・、すっげぇ」
ロンがため息をついた
ハリーの箒は、スラリとして艶があり、マホガニーの柄の先に、長くまっすぐな小枝がすっきりと束ねられ、柄の先端近くに、金文字でニンバス2000と書いてあった
「のはどんなの?見せてよ。」
箒をロンに触らせておいて、ハリーがに問い掛けた
包みを解くと、中から真っ黒な箒と紙が出てきた
この箒に名前はありません
あなたが箒の名前をつけるのです
この箒に手を触れ、念じてください
あなたがこの箒にふさわしい者なら―――箒はあなたにこたえるでしょう
「・・・・・・名前・・・、どうしよう」
はしばらく考えたが、アイデアがなかったため、とりあえず七時近くにはクィディッチの競技場に行った
競技場のグラウンドの周りには、何百という座席が高々とせり上げられていた
ウッドが来るまでに、どうしてもまた飛んでみたくなり、ハリーは箒にまたがり、地面を蹴った
もまたがった。地面を蹴って・・・
「・・・あれ?」
箒はまったく反応しなかった。何度も何度も蹴るが、重力の力で下に落ちてしまう
そんなことをしている間に、オリバー・ウッドがやってきた
「・・・何してるんだい?」
夢中になっていて、ウッドに気づかなかったは、驚いた
「箒が飛ばないんです」
「・・・何?ちょっと貸してごらん」
ウッドは怪訝そうな顔をした
確かに、またがっても、箒は浮かばない。ただの掃除用の箒のようだ
「・・・これ、本当に飛べる箒なのかい?なんか、書いてなかったか?」
「そういえば・・・あなたがこの箒にふさわしい者なら箒はあなたにこたえるでしょうとか書いてある紙がありました。それと、名前は自分でつけろと」
「やってみたらどうかな?なんかわかるかもしれないし」
「わかりました。」
名前は来る間に考えておいた
サンダー・ウィザード
雷のようにはやく飛べる魔法使い、というのを意味してつけた
は箒を片手に持って、眼を閉じた
―――サンダー・ウィザード―――
箒を持った手が熱くなった
熱がどんどん広がって、体中に行き届いた
「!?大丈夫かい!?」
ウッドの焦った声がした
が目を開くと、熱は急におさまった
手を離すと、箒にはくっきりと、銀の筆記体で"Thunder Wizard"と彫られていた
「大丈夫かい?君、眼を閉じたと思ったらいきなり緑の炎に包まれるんだから・・・びっくりしたよ。まぁ、無事でなにより。でも、なんか危なそうだから、もう一度僕が先に乗ってみる。いいね?」
は素直に従った
ウッドが箒を手に取り、跨った
しかし箒はびくともしない
「・・・これ本当に飛ぶのかい?」
「多分飛びます・・・多分。・・・飛びませんか?」
「試してみたらどうかな。」
は箒を受け取って、跨った
さっきのように、軽く地面を蹴った。
すると、体がいきなり軽くなったような気がした
次の瞬間、は一気に上空へ舞い上がった
ウッドが下で驚いたような顔をしているのが見えた(視力はかなりいいのだ)
は箒をあやつってグラウンドを旋回した
こんなにいい気分になったのは初めてだった
急降下して、地面スレスレの所で止めて降り立った
ハリーも隣にピタリと着地した
「おみごと!!すごいよ、君たちは!箒のことは不思議だが、今年は間違いなく優勝杯ゲットだ!今夜はルールを教えよう。それから週三回のチーム練習に参加だ」
ウッドは小脇にかかえていた大きな箱をあけた
それをあけると、大きさの違う四つのボールがあった
真っ赤な大きいボールと、真っ黒な少し小さいボールが二つ、そして銀の羽がついた金色の小さいボールだ
ウッドはまず、一番大きいボールを取り出した
「クィディッチは七人でプレイする。チェイサー三人、ビーター二人、シーカー一人。」
ウッドはグラウンドの両端にある三本の金の柱を指した
「チェイサーは、このボール―――クァッフルだ。これをもって、あの三つの輪のどれか一つにいれる。キーパーは、この僕だ。ここまでいいかい?」
「一番大きいボールを持って、輪の中に入れる・・・」
ハリーが繰り返した
「それは何?」
が箱の中で紐を振り切って飛び出そうとしてる黒いボールを指した
「ブラッジャーだよ。今見せる。ちょっとこれ持って」
ウッドが短い棍棒を二人に渡した
「下がって」と注意してから、ウッドは腰をかがめ、ブラッジャーを一つだけ紐からはずした
とたん、黒いボールは空中高く跳ね上がった
「気をつけろ、来るぞ」
ウッドが言った
ハリーは自分にめがけて飛んできたブラッジャーに狙いをさだめた
―――今だ!
ハリーは棍棒を思いっきり振った
ブラッジャーは大きく跳ね上がり、輪の一つを通り抜けた
「ほう。いいビーターになれる」
ウッドは軽い口調でいったが、ブラッジャーが次に自分に向かってくるのを見て、表情を引き締める
ブラッジャーが当たった瞬間、ウッドはボールを上から押さえ込むように飛び掛り、地面に押さえつけた
箱に戻した時には、ハーハーと息が切れていた
「わかったろう?ブラッジャーはプレーヤーを箒から叩き落そうとする。、君はシーカーだから、このボールだけをきにしていればいい。」
ウッドは箱に手をつっこんで、最期のボールを取り出した
それは随分小さいものだった。金色で、小さな銀色の羽をひらひらさせている
「これだ。金のスニッチ。」
「綺麗・・・」
は思わず声をもらした
「見た目はな。だけど、そいつはとにかくすばしっこくて、捕まえにくい。捕まえれば、150点獲得でゲーム終了。君が取れば、こっちの勝ちだ。」
ウッドは金のスニッチを離した
それは、ヒラヒラと羽を羽ばたかせて、空高くへ舞い上がった
あとがき
なんだろう。なんなんだろうこれは。
改めて文才がないことに気付く自分orz
・・・でも頑張ります!!
では、ここまで読んでくださってありがとうございました
2006.6.18 晴天マユミ
前/賢者の石/次