光り輝く天井や、歌う帽子。

ホグワーツって、本当にいろんなものがあるんだなぁ・・・





Act.8 Gryffindor or Slytherin?




ボートに乗って、ホグワーツに入る。
一年生は小さな空き部屋で待たされていた

副校長のマクゴナガルは、学校側の準備が整うまで、待っていなさいといい、部屋を出て行ってしまった
残された一年生はソワソワし始めた
緊張して口をぎゅっと結んでいる生徒も多数いる
はパッパッパとローブをととのえたり、髪をなでつけたりした

「本当なんだ。」

いきなり誰かが大声で言った

「ハリー・ポッターとがこの学校に来てるって話。」
「あっ!!!」

はバッと声の主を指差した。
それは、あのマダムマルキンの洋装店で出会った、顎のとがった少年だった
彼は生徒をかきわけると、二人の前に進み出た

「こいつはグラップ。」
ドラコは右の方を顎でしゃくった。そして左の方を向く
「ゴイルだ。僕はドラコ。ドラコ・マルフォイ」
「あ、じゃぁルシウスさんが言ってた、ドラコって、あなたの事だったの?」

部屋がざわついた。ドラコは少しおどろいたような顔をしていた

「父上にあったことがあるのか?」
「ええ。ちょっとノクターン横丁ってトコに迷い込んじゃって・・・そこであったの。」

えへへ・・・とが笑うと、部屋はさっきよりもざわざわし始めた

「さぁ、行きますよ」

いつの間にか戻ってきたマクゴナガルが言った
生徒は途端、静かになった

一年生は一列になって、マクゴナガルのあとに続いた
大広間に入ると、そこは考えたこともない、不思議な光景が広がっていた


何千というろうそくが空中に浮かび、四つの長テーブルを照らしていた
は四つのテーブルを交互に見た。何度か上級生と目が合った
と目があうと、殆どの上級生はにっこりと微笑んでくれた。
手をふってくれる人も少数いた。はその度軽く会釈した。

マクゴナガルは上座のテーブルの所まで一年生を引率すると、そこで一旦止まらせた
そして一年生の前に黙って四本足のスツールを置いた

椅子の上には絵本に出るような魔法使いがかぶるとんがり帽子が置かれた
ボロボロで、とても汚らしかった

じーっと見ていると、帽子がいきなり歌いだしたものだから、はひっ、小さく飛び上がった



私はきれいじゃないけれど
人は見かけによらぬもの
私をしのぐ賢い帽子
あるなら私は身を引こう
山高帽子は真っ黒だ
シルクハットはすらりと高い
私は彼らの上をいく
君の頭に隠れたものを
組分け帽子はお見通し
かぶれば君に教えよう
君が行くべき寮の名を

グリフィンドールに行くならば
勇気ある者が住う寮
勇猛果敢な騎士道で
他とは違うグリフィンドール

ハッフルパフに行くならば
君は正しく忠実で
忍耐強く真実で
苦労を苦労と思わない

古き賢きレイブンクロー
君に意欲があるならば
機知と学びの友人を
ここで必ず得るだろう

スリザリンではもしかして
君はまことの友を得る
どんな手段を使っても
目的遂げる狡猾さ

かぶってごらん!恐れずに!
興奮せずに、お任せを!

君を私の手にゆだね(私は手なんかないけれど)
だって私は考える帽子!



歌が終わると広間にいた全員が拍手した。
は相当興奮したようすで、手が赤くなるまで拍手をしていた

「魔法界の凄さはこんなものじゃないわよ」
そんなを見たハーマイオニーがいった
「ほ、本当に!?」
「ええ」
「た、楽しみ!!!」

マクゴナガルが長い羊皮紙の巻紙を手にして前に進み出た

「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子をかぶって椅子に座り、組分けを受けてください。アボット・ハンナ!!」

ピンクの頬をした、金髪のおさげの少女が、転がるように前に出てきた。帽子をかぶると目が隠れるほどだった
腰掛けた。一瞬の沈黙・・・

「ハッフルパフ!!」

帽子が叫んだ
右側のテーブルから歓声と拍手が上がり、ハンナはハッフルパフのテーブルについた

私は、どうなるんだろう。とは少し戸惑いはじめた
学校の成績は、まぁいい方だ。少なくとも毎回学年三位には入っている
それから言えば、一応レイブンクロー、ということになる。
でも、それは魔法界でも通用することなんだろうか

数学や国語は、こっちでも通用するのかな?
社会は通用しない方が嬉しい。国語、数学、理科の三教科ではいつも一位なのに、社会で絶対順位が下がるのだ

そんな風に悩んでいる間に、ハリーの番が来た。
広間は一瞬静まり返り、しばらく経って、帽子がグリフィンドール!と叫んだ
先に席についていたロンがハリーに手をふった。
ロンの兄らしき双子は、ポッターをとった、ポッターをとった、と騒いでいる

!!!」

の名前が呼ばれると、広間はさっきよりも静かになった
自分の名前を呼ばれたことに気付くと、はあわてて椅子の方へ走っていった

帽子が頭の上に覆い被さった

『ふぅむ・・・』

帽子が声を出した。いきなり頭の中に響いて、はびっくりした

・・・あの、家の子か。』
『それが・・・何か?』
『なら君は、スリザリ・・・『すとぉっぷぅ!!!』』

は頭の中で必死に訴えかけた
さっきホグワーツに着くまでの間、ロンに聞いた話を思い出したのだ

闇におちた魔法使いはみんなスリザリンだった

『あの、私の両親って、スリザリンだったんですか?』
『おお、そうだの。じゃが、珍しくグリフィンドール生とも仲がよかった。お爺様はそうはいかなかったがの。』
『おじいちゃん・・・?』
『まぁ、いずれ知る時が来るじゃろう。ともあれ、スリザリンは嫌なのかね?』

スリザリンの席を見ると、ドラコがウィンクをよこした
どうやら自分の父親を知っているということで、大分親近感がわいたようだ
それに苦笑する

『では、どこの寮がいいのだね?』
『ええ。できればグリフィンドールが・・・』
『おや、これはたまげた!レイブンクローというのかと思ったのじゃがね。君の頭なら、今の時点で三年生までの勉強はできる。』
『ほ、本当ですか!?』
『本当じゃ。じゃが、グリフィンドールがいいというのなら・・・よろしい。』

「グリフィンドール!!!」

グリフィンドールからわーっ!と歓声が起こった
生き残った子が二人とも自分の寮に選ばれたのだ
がそちらのテーブルに走っていくと、双子が声を揃えていった

「「ようこそ、グリフィンドールへ!!!光栄だよ!!!」」

外見だけではなく、性格まで似ているんだなぁ、と内心思うであった


最後の一人が終わり、ダンブルドアがカンカンカンとゴブレッドを叩いた

「宴を始める前に、諸注意を申し上げておこうかの。森は立ち入り禁止じゃ。生徒は絶対に入ってはならん。それと、四階の右側の廊下も立ち入り禁止じゃ。そこには恐ろしい苦痛と、死が待っておる。」

何人かの生徒が笑った。ハリーも笑ったが、は何故か笑えなかった。左腕がうずきだしたのだ。
右手で抑える。それを見たハーマイオニーが不思議そうに眉をひそめたが、は口パクで大丈夫、と伝えた

「では宴を・・・はじめるとするかの。」

ダンブルドアがパチンと指を鳴らすと、テーブルにご馳走が現れた
ハリーとロンや他の生徒は夢中でかぶりついたが、は少し食べただけでやめてしまった

みんな夢中で食べているため、話し相手がいなく、は先生たちの座っているテーブルに視線を移した

『漏れ鍋』であった先生は(クィレル先生というらしい)、鉤鼻の先生と話していた
クィレルと目があった瞬間、また左腕がピクッと痙攣した

「・・・痛っ!!!」

は思わず声をあげてしまった。

「どうしたの?」

隣に座っていたハリーが糖蜜パイを置いて訊いた

「いや、あの先生を見た途端に、腕が・・・」

ハリーも教員の座っているテーブルに目を向けた
ダンブルドア先生・・・、大丈夫だ。なんともない。
マクゴナガル先生も、大丈夫。

でも鉤鼻の先生がクィレルのターバン越しにハリーと目を合わせた途端、ハリーの額の傷に痛みが走った

「イタッ!!!」
「ね?」

は左腕をさすりながら言った

「クィレル先生を見たら、いたくなったでしょ?」
「え・・・?僕、違うよ。」
「え?」
「僕は、あの・・・、ほら、クィレル先生と話してる先生と目が合った途端に傷がズキズキして・・・」
「そう・・・じゃぁ、思い違いかな?私もあの先生と目が合ったし・・・」
「僕、パーシーにどんな先生なのか訊いてみる。」


ハリーがパーシーの方を向いている間、はずっと教員席を見ていた
しばらく経って、ハリーが振り返った

「名前はスネイプ先生。闇の魔術にすごい詳しい人なんだって。クィレル先生の席を狙ってるってみんな言ってるらしいけど・・・」
「そうなんだぁ・・・。」

はもう一度教員席を見てみたが、腕にはさっきみたいな鋭い痛みは走らなかった

とうとうデザートは消えてしまい、ダンブルドアが立ち上がった

「では、寝る前に校歌を歌いましょう!みんな自分の好きなメロディーで。」

ダンブルドアが声を張り上げた。
魔法の杖をまるで杖さきにとまったはえを振り払うようにヒョイと動かすと、金色のりぼんが長々と流れ出て、テーブルの上高くのぼり、字を書いた

「では、さん、し、はい!」

学校中が大声でうなった


ホグワーツ ホグワーツ
ホグホグ ワツワツ ホグワーツ

教えて どうぞ 僕たちに
老いても ハゲても 青二才でも
頭にゃなんとか詰め込める
おもしろいものを詰め込める
今はからっぽ 空気詰め
死んだハエやら がらくた詰め
教えて 価値のあるものを
教えて 忘れてしまったものを
ベストをつくせば あとはお任せ
学べよ脳みそ 腐るまで


・・・にはとても最後の部分は歌えなかった。



あとがき
えーっと、ABC順ということになってますが・・・
とても名前変換するとそうはいかないので。
一番もりあがる最後らへんにしました。
でも、ハリーのときより静かになったって・・・
瞳のセリフを借りるようですが・・・、ヒロイン、特別すぎっすね。
では、ここまで読んでくださってありがとうございました。
2006.3.4 晴天マユミ
/賢者の石/