いよいよホグワーツへの旅。

僕たちは新しい出会いに、胸をふくらませた





Act.7 Hogwarts Express





「ハリー、ここあいてるよ」


汽車が走り出してしばらく、二人はずっとあいているコンパートメントを探していた
前の方は全部うまっていて、やっとが空いているのをみつけた


コンパートメントにはいり、とハリーは隣どうしに座った(が窓側だ)


「いやぁ〜、なんかこういうのっていいねぇ〜!」

が疲れたようにうーんと背伸びをした
窓の外に目を移して、かわりゆく景色を見た

「あ、みてみてハリー、あれ・・・」

が窓に指をあてて一点を指差した
ハリーがそれをの肩越しに見ようとした


ガラッ


コンパートメントの戸が開いて、さっきの一番年下の赤毛の男の子が入ってきた


「!!あ・・・ごめん、邪魔だった?」


そういわれて、ハリーは初めて自分のかなり近くにの顔があることに気づいた
しかもがふりかえったものだから・・・面とむかいあってしまって・・・



誤解されるのも無理はない。


「ううん!!!なんで?」
「いや・・・その・・・。。。」

赤毛の男の子はなにかモゴモゴといった

「?何?」
「!!!な、なんでもない。そこ、いいかな?他にあいてなくて・・・」

ハリーの向かい側の席を指して尋ねた


「いいよ!どーぞどーぞ!!」


が満面の笑顔でいうと、男の子はほっとしたようにハリーとの向かい側に腰掛けた


「僕、ロンっていうんだ。ロン・ウィーズリー。」
「僕、ハリー。ハリー・ポッター。」
です!宜しく!」

ロンが自己紹介して、その後にハリー、が続いた

二人は普通に自己紹介をしたつもりなのに、ロンはあんぐりと口をあけた

「え・・・!!??君たちが・・・あの・・・?え・・・じゃあ、あるの?あれ・・・」
「何が?」


ロンはまわりを気にしながら、小声でいった


「ほら・・・その・・・、傷跡。」
「ああ、ほら。」



ハリーは笑って前髪をかきあげた

ロンはすげー!といって、深く座った




それからしばらく、三人は自分の家の話や、昔の話などに花を咲かせた

途中、ハリーがヴォルデモートの名前を出し、ロンは驚いて少し顔色が悪くなったが、それも直った。


十二時半ごろ、通路でガチャガチャと大きな音がして、えくぼのおばさんがニコニコ顔で戸をあけた
はこのおばさんがいつも家に入れてくれるおばさんに似てると思った)


「車内販売よ。なにかいりませんか?」
「ぼく・・・いいや・・・。自分のがある。」

ロンはラップで包まれたサンドイッチを取り出した。
ハリーはそれを見かねたように、ポケットから金貨を何枚か取り出した。


「ぜーんぶ頂戴!」


ロンは、危うくサンドイッチを落としそうになった


「バーティー・ボッツの百味ビーンズ?」

ハリーが買ってきた箱をひとつ、耳元でパタパタと振って、が不思議そうに尋ねた

「うん。本当になんでもありなんだよ。」


ロンがかぼちゃパイをほおばりながら答える


「チョコ味、ハッカ味、マーマレード味・・・。それと・・・ほうれんそう、レバー、臓物味なんてのがあるんだ。」

は食べようとしていた百味ビーンズを口の手前でとめた
そこにロンが更に追い討ちをかける

「僕の兄のジョージは、鼻くそ味にあたったことがあるってさ。」

はパッパッと百味ビーンズを箱にしまい、最初の形に戻した。
(ちなみに後でロンが食べたところ、それは芽キャベツ味だった)

「あれ、ロン、それ、何?」


が蛙チョコレートの箱を開けながら、ロンに尋ねた。

「ああ。スキャバーズさ。・・・かっこわるいだろ?」


ロンはそれをつかみだした。
もう随分と歳をとったようなネズミは、ロンの手からのがれようと、百味ビーンズの箱に頭をつっこんだ


「黄色に変える呪文を習った。見る?」

「えぇ?」



ハリーとは体を乗り出した
魔法を、こんなに近くで見れるなんて!!!



「お陽さま、雛ぎ・・・」


ロンが呪文を唱え始めた瞬間、コパートメントの戸がバン、と音を立てて開いた。
そこには、栗色の髪の毛の女の子がたっていた

「ヒキガエルを見なかった?ネビルのが逃げたの。」


女の子はうんざりしたような口調で、ロンに話し掛けた

「見なかったけど・・・」
「あら、呪文をかけるの?・・・やってみせて?」


ロンは咳払いすると、もう一度杖をスキャバーズに向けた

「お陽さま、雛菊、とろけたバター。このデブねずみを黄色に変えよ!」


ロンは杖をふったが、百味ビーンズの箱が吹っ飛んだだけだった。



「その呪文、本当に合ってるの?ふふ、全然効かないみたいね?私は簡単な呪文しか試したことが無いけど、ちゃぁんと効いたわよ」



「ちゃんと」を強調して少し嫌みったらしい口調で女の子は言った。ロンは眉間に少し皺をよせて、ハリーに目配せした
女の子は三人が座っている向かいがわの席に座ると、杖を取り出してハリーの目元につきつけた。


「たとえば、これ。オキュラス・レパロ。」


ビュンと音がして、ハリーのめがねにはってあったセロハンテープが消えた。


ハリーが驚いてめがねをはずすと、女の子はそれとは違う意味で驚いた


「あら、びっくり!あなた、ハリー・ポッターね!?じゃあ、あなたは!?」
「え?」

いきなり自分の名前を出されて、は驚いて手に持っていたカエルチョコレートを逃がしてしまった

「あ・・・どうもです・・・」
「私は、ハーマイオニー・グレンジャーよ。会えて光栄だわ。」
「うん、よろしく。でも、なんでハリーだって知って、私に気付いたの?」
「あなたのこと、本に載ってたわ。『ハリー・ポッターとは、同じところに住んでいて、ペアだと考えてもいい』ってね。」
「ペ、ペア・・・?」

確かに考えてみれば、ハリーとはいつも一緒だった
でも、そんな普通のことが、魔法界では知れ渡っているなんて・・・


「あなたの・・・名前は?」

ハリーとの時とはまったく違う顔つきで、ハーマイオニーはロンに尋ねた


「ロン・ウィーズリー。」
「よろしく。三人とも、そろそろ着替えた方がいいわ。もうすぐ着くはずだから。」


ハーマイオニーは立ち上がり、コパートメントを去ろうとして、もう一度振り返った


「鼻の横に泥がついてるわよ?知ってた?ここよ」

ハーマイオニー鼻の横をさすってみせた
ロンは眉をひそめて鼻を横を指で拭く
ハーマイオニーはびゅんと後ろをむくと、今度こそコパートメントから立ち去った


そしてしばらくの沈黙。


「あの・・・?」
「ん?」
「こ、これって、どういう風に着替えればいいのかな?」


確かにこのコパートメントはせまい。
男の子と女の子が一緒に着替えるのにうってつけの空間とはとても言い難い。

「あー・・・、でも、大丈夫じゃない?・・・他、服の上にローブを羽織るだけだし・・・さ?」


結局、三人とも後ろを向いて着替えることになった


・・・いい?」
「うん。もう終わった。」

三人がふりむく


「か・・・」

が喉のおくから出したような声で呟く
ハリーは何を言っているのかわからず、少しだけ首をかしげた


、なんていったの?」
「か、かっこいい!!!!なんかその、ローブの長さが!?て、いうか、その、全体が!!!」
「えっ!!!」


思いがけないことを言われたハリーは少し赤くなる
それを不思議そうに見る

「どうしたの・・・?」
「いや、な、なんでもない」


その時、運良く車内に響き渡る声が聞こえた


「あと五分でホグワーツの到着します。荷物は別に学校に届けますので、車内に置いていってください」



三人は残った菓子を急いでポケットにつっこみ、通路にあふれる人の群れに加わった

汽車が完全に停車し、生徒たちは押し合いへしあいしながら、外に出た



いよいよ、ホグワーツだ!!!



あとがき
第二章突入!!!久々の更新でした
汽車の中でのお話。最初らへん、誤解されてますね・・・(笑)
ちなみに、ヒロイン、ハリーよりたくさんの本に載っているっていう設定になってます
理由は後々わかる・・・かも?
では、ここまで読んでくださってありがとうございました。
2006.3.1 晴天マユミ
/賢者の石/