暗い、暗い、部屋だった。
そこに、はいた。
外からは悲鳴が聞こえる。
幼いは、それが何の音なのか理解できなかった。
ただ、そこにポツンと座っていた。
悲鳴が絶えると、扉がギギギ・・・と音をたてて開く
「・・・・・・?」
いきなり、左腕に激痛が走った。
黒いマントをまとった魔法使いが杖を振り上げる
『アバダ・ケダブラ』
目の前が光に満ちて、はそのまま意識を失った
Act.1 The wonder things
「起きな、起きなってば、」
「助け、マ・・・」
「ッ!」
「!!・・・あ。」
ハリーの声で目を覚ますと、そこはさっきまでいたくらい部屋ではなく、ダーズリー家の物置だった。
安堵感が一気に全身を包んで、はハァ、と息をついた
「ずいぶんうなされてたけど、大丈夫?」
「・・・・・・うん・・・。もうちょっと寝る〜・・・」
そういうとはまた布団(とはいってもフカフカのやつではないが)の中に頭をつっこんでしまった
そのまままた眠りにつく。
でも甘い夢も長くは続かず、間もなくして、衝撃音と共にホコリが天井から落ちてくる
「ハリー、、起きろっ、今日は動物園に行くぞっ」
「・・・・・・」
今日は最悪の日だ。
なんたって、最低の家庭の、最低のイトコ、ダドリーの誕生日。
しかも今年もまた毎年恒例である誕生日祝いの『お出かけ』がある
まったくバカらしい。
どうせ私たちにいいコトはないんだ、と思うと、余計行きたくなくなる
「さっさと起きないと怒られるよ、・・・」
「貴方も本当は行きたくないんでしょ、ハリー・・・」
だるそうに返事して布団から顔だけ出すと、ハリーは既に着替えていた
「はやいね・・・もしかして行く気満々だったり?」
そう問うと、ハリーはまさか、とばかりに肩をすくめてみせた
「どうせどんな事を思っても行く事には変わりないんだ。僕はもう熱い中、草むしりはごめんだからね」
最後に、ちゃんという事をきいててもやらされるだろうけど、と付け足して、ハリーは苦笑した。
確かにハリーのいう事にも一理ある。
仕方なく、は動きたくない、とわめく足を必死で動かして、のそのそと布団から這い出た
「眠い・・・。」
目を擦りながら呟いてみるけど、ハリーには完全に無視された。
のコトを思って、だろうが。
ハリーとダドリーがそうであるように、もハリーといとこだった。
の父親がハリーの母親の兄なのである。
にしても、あまりにもダドリー達がひどすぎると思うのはだけだろうか
ガシャ。
ドンッ!!
ドバッ。
・・・今の状況を説明しよう。
まず、ハリーが扉を開けました。
そして、その扉が外にいたダドリーによって閉められました。
こっちを向いたハリーの額には稲妻形以外の傷が新しく一つできていました。
「・・・・・・。じゃ、行こうか。」
慣れてしまったのか、特に気にした様子もなく、ハリーは再度扉を開く
部屋の隅っこで素早く着替えたも気づかれないように小さくため息をついて後に続いた
リビングのドアを開けると、いきなり数十個ものプレゼントが目に飛び込んでくる
ハリーはいつもの通りキッチンに向かい、も手伝うためについていった
「今日はちゃんとおいしいものを作るのよ。ダドリーちゃんの誕生日だものね」
は文句をいいたい気持ちを必死に抑えて、愛想笑いを浮かべた
ペチュニアはそれで満足して、ダドリーの方に走っていった
外では去年より一個プレゼントが少ないとダドリーがわめいているようだ
はついタバスコに手を伸ばしたが、あわてて引っ込めた
「君が今何をしようと思ったかわかるよ」
「・・・・・・」
「僕も今、ダドリーのヤツの朝ご飯に塩を一袋分ぶち込もうとした。」
言葉遣いがいつもと違ってすごいですよ、ハリーくん・・・。
相当ストレスがたまっているようですね・・・。
「魔法でもあったらねぇ・・・。」
一瞬妄想の世界へ飛んだが、そんなものはあるわけない、と思って頭をブンブンと振った
でも事実、とハリーの身の回りでは、たまに不思議なことが起こる。
キれそうになったときに、ダドリーが池に落ちたり、怖い時に、いきなり助けがきたり―――自分に好都合な事が結構おこるのである。
「もし私たちが魔法界で有名な人で、どっかから迎えがきたりしたr「ないね」
の妄想は、ハリーの一言によってあっさりと消された
「つれないなぁ・・・」
プーッと頬をふくらませても渋々ハリーの後に続いて食べ物を運んだ
***
「ねぇ・・・本当にココ入るの・・・・・・??;;」
の指差す先には、『爬虫類館』
実はダドリーの誕生日が嫌いな理由はもう一つある。
は、大のトカゲ嫌いなのだ。
だがダドリーが動物園が大好きなので、毎年誕生日には強制的に連れてこられるのである。
ハリーはハリーでプレゼントを買ってもらっているダドリーを恨めしげに見ている
「「最悪・・・」」
二人のため息と声が重なった。
さて、爬虫類館に入り―――
「ハリー・・・。もういい?」
「あ、隣に大トカゲが」
「ひぃっ!!!」
は眼を瞑ってハリーと手をつなぎ、歩いていた。
「なんでそこまでトカゲが嫌いなの?」
「嫌な物はいやなの!」
「僕なんて学校に行くとき、道路でトカゲを見かけたことがあるよ」
「脅かさないでよ!!ヘビならともかく!」
ヘビだったら大丈夫なのか―――とハリーは心の中でこっそりとツッコミを入れた
「ほら、もう大丈夫だよ」
ハリーの言葉を聞いておそるおそる目を開いてみる
「・・・あ、ヘビ。」
目の前のガラスの壁の中にいたのは、真っ黒な蛇だった。
でもどこか元気がない感じがして―――は隣にかけてある札を見た
『動物園育ち』
・・・そうか。
このヘビは、私たちと同じなんだ。
親の顔を見たこともない。
「・・・僕・・・」
すると、いきなりハリーの震えた声が聞こえた
何事!?と思い、ハリーに聞いてみると、
「僕・・・ヘビと喋れた・・・」
心底驚いたような声で、ハリーは言った。
「・・・へ?」
ヘビと、喋れた?
ヘビの方を見てみると―――うん、確かにハリーの方を見てる。
でもこんな不可解な事って・・・。
ボーッとしながらそんな事を考えていると、突然ハリーの方で凄い音がした
気づいた時には遅かった
「ハ、ハリー!!??」
ダドリーにどつかれたハリーが、こっちへ倒れてきた
は咄嗟に下へ滑り込む
だが。
「・・・いっつぅ〜・・・。」
ハリーを助けようとしたばかりに、自分が下敷きになってしまったのである。
「!?だ、大丈夫っ!!??;;」
「うん・・・。あと、はやく上からどいて・・・。。。」
それを聞いてハリーは自分がの上に乗ったままだと気づき、あわてて横に退いた
ダドリーを見れば、何事もなかったかのように蛇を見ている
「ダドリィ・・・あんにゃろ〜・・・」
「・・・・・・。(怒)」
ハリーから黒いオーラが出て、まわりの子供たちが泣きそうになっているが、はまったく気づいていなかった。
するとその時。
「う、うわぁ!!!!!」
ダドリーの前にあったガラスが消えた
その光景に一瞬ハリーとは固まったが、
しばらくすると笑いがこみ上げてきて、
必死でそれをこらえた
隣をヘビが通っていくも、は笑いをこらえるので精一杯だった。
それに特にヘビが嫌いでもないし。
はハリーも自分と同じように笑っていると思い、ハリーの方を見たが、
ハリーは引きつった笑顔をうかべていた
視線をたどると、その先には、
さっきのハリーよりドス黒いオーラを発しているダーズリー氏。
(((やばい・・・)))
とハリーは咄嗟にその場から逃げようとしたが、結局は捕まってしまった。
だが、悲劇はそれだけでは終わらなかった。
の目の前にいたのは―――こっちを気味の悪い目でにらんでいるトカゲ。
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
「ぎゃぁああああああぁぁああ!!!!!!!」
爬虫類館にはの情けない声が響き渡ったのである・・・。
あとがき
初・ハリポタ夢!!!
でも資料なしで書いたので、かなり微妙に・・・。
うまくかけるようになりたいっす。。。
では、ここまで読んでくださってありがとうございました。
2005.12.1 晴天マユミ
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