〜BLEACH!!〜
第十七話
「何で・・・お前がこんなところに・・・」
思いもよらない死神との遭遇、それはあまりにも突然で・・・正直驚いた
「いろいろとあるんよ。隊長になると忙しゅうてかなわんのや」
「・・・嘘つくなよ。お前が一回でも書類らなんやらまじめに自分から片付けようとした事あったか?」
昔からそうだ。書類も任務も・・・全部自分からやろうとはしなかった
同じ副隊長だった頃からいつも突然消えて・・・残されたのは書類の山ばかりだということは今でも覚えている
そんな奴が・・・隊長だからって何故こんなところに・・・?
「・・・無いわな、まあ気にせんといて。隊長やて旅禍の侵入を見過ごすわけにはいかへんやろ」
「別にお前がそこにいようと俺は知ったこっちゃない。俺らはただ通りたいだけ・・・そこ、通してくれる?」
「そりゃ無理な注文やわ。「俺ら」ってことは君のこと通したらこの子らまで連れてくつもりやろ?」
「ご名答、退かないんだったら力づくでもどいてもらおう」
斬魄刀に手をかける
「おっと、勘違いせんといて。ボクの目的はこの子らを通さないことや、君と戦うことやない」
そのまま俺を無視して門の方をむく
「しっかしボクらが話している間も門を片手で支えられるとは、サスガ尸魂界一の豪傑。けどやっぱり門番としたら失格や」
「・・・オラは負けたんだ・・・負けた門番が門をあけるのは・・・当たり前のことだべ!!」
心からそう思っているのだろう。でもそういうきれいごとはこの世界じゃ通用することはめったにない
「何を言うてんねや?わかってへんな、負けた門番は門なんかあけへんよ。門番が負ける言うのは・・・死ぬゆう意味やぞ」
・・・これが尸魂界の姿。負けることの許されない、負けることは死ぬこと、常に死が付きまとう・・・そんな世界
そしてこれが人間を護るために存在する死神の姿、強い者は弱い者を平気で捨てる・・・でも俺はそんな事を認めない
「そんな事させないよ。死のうが死なまいがそれは本人の勝手、隊長だからってそんな事決められないはずだ。だろ?一護」
「あたりめえだ!!」
俺のすぐ横を通りギンに一護が斬りかかった
「・・・な・・・」
二人が間合いをおく
「の言うとおりだぜ・・・何てことしやがんだこの野郎!!!」
「まったく・・・挑発もいい加減にしとけよ。師匠が怒ってる」
後ろでは師匠が「何勝手なことしてくれるんじゃこの野郎!!」みたいな感じで睨んできてる
「うるせえな、先に喧嘩売ってきたのはあいつだ」
「それを買ったのは俺だ。お前が勝手に首つっこんできただけじゃないか」
「俺だっていろいろ言いてえことがあんだよ!」
「はいはい、いいよ任せる。ここで刀抜いたら総隊長にも怒られちゃいそうだし」
総隊長って誰だ・・・?みたいな顔してからまたギンの方に向きなおして
「・・・じだんぼうと俺達の間でもう勝負はついてたんだよ!それを後から出てきてちょっかい出しやがってこのキツネ野郎!」
ってあかるさまに喧嘩口調で話し始めた
「・・・井上、じだんぼうの腕の治療頼む」
「あ・・・はっ・・・はい!」
その返事を確かめると斬魄刀の柄を握りなおしてまたギンに剣先を向けた
「来いよ、そんなにやりたきゃ俺が相手してやる。武器も持ってねえ奴に平気で切りかかるようなクソ野郎は・・・俺が斬る」
「・・・アホ、お前じゃ勝てんわ。少しは相手の霊力の測り方覚えなよ」
「んなことやらなきゃわかんねえだろ!!」
さっきのじだんぼう戦のときと一緒。ここでは一護だけどギンに勝てないのは運命に等しい事実
ま、勝負事に関する運命は信じないたちだけど
「はっおもろい子やな、ボクが怖ないんか?」
「ぜんぜ・・・「コラー!!」
ついにきれたか師匠
「もうよせ一護!ここはひとまず退くのじゃ!!」
「なんでだよ!?こっからじゃねーか!」
確かに・・・ここは退くのが一番いいか
「ちゃん、あの子が例の・・・」
「そ、恋次のことを倒しかけて朽木隊長にやられたルキアから力を譲り受けた死神代行。何?あいつそんなに有名なの?」
「少しだけやけどな・・・そうか、キミが黒崎一護か」
「知ってんのか俺のこと?」
「なんややっぱりそうかァ」
そう言うと急にギンが門の向こう側へ歩き始めた
「あっ!?おい!どこ行くんだよ!?」
「なんだギン、俺が旅禍の侵入に関与していたことでも中央に伝える気か?」
自分で言ってなんだけど・・・そんな目的じゃないと思う
「そんなことはせえへんて。キミが旅禍を助けようが僕は興味あらへんし報告する気もない」
やっぱし
「ただな、この子が黒崎一護とわかったんや・・・尚更通すわけにはいかへんな」
「何する気だよ離れて。その脇差でも投げるのか?」
いや・・・あれは違う
「脇差やない。これがボクの斬魄刀や」
ギンの斬魄刀・・・伸縮する遠距離攻撃が可能な斬魄刀
遠距離が可能ということはそれを利用して俺らを遠くから攻撃することも可能・・・したがって一護の斬撃は届かない・・・!
「離れろ!じだんぼうも門を離せ!!早く!!」
あいつは・・・じだんぼうごと一護をふっ飛ばして・・・門を下ろす気だ!
「しかし・・・今門をはなすと・・・」
「門なんてどうでもいい!!早くしろ!!死ぬぞ!」
しかしその叫びも無残に終わってしまうことぐらい分かっていた
ただ・・・せめて誰も死ななければ・・・それだけで今は十分だと思った
「射殺せ『神鎗』」
言葉とともに斬魄刀がこちらに伸びてきた
そのまま一護に直撃したかと思うと予想通りじだんぼうごと門のこちら側に吹っ飛ばした
「く・・・黒崎くん!!」
「黒崎っ!!」
そして支えを失った門は俺らを取り残し閉まっていく
「しまった!門が降りる・・・っ!!!」
「・・・俺までこっちに残しちゃって、知らないよ〜隊首会でややこしいことになっても」
「問題あらへん、第一ボクは間違ったことはしてへんよ。それとキミのことは内緒にしてあげるさかいはよかえっておいで」
「そりゃどうも」
「そんじゃバイバーイ」
その言葉を最後に瀞霊廷へと続く道は閉ざされてしまった
「痛ってえッ!!!!」
でも・・・まあ一護が死んでないことはよしとするか
直撃してたから冷や汗かいたけど・・・大した瞬発力だ、攻撃が当たる瞬間に斬魄刀で直撃を防ぎやがった
「ちくしょーなんだよあの野郎!危うくケガするとこだったじゃねえか!!」
「げ・・・元気そうだね・・・ていうか・・・ケガ・・・ないんだ?」
「まあまあ、相手がギンなんだし。普通ならケガしない方がおかしいんだよ」
「の言う通りじゃ、無事で何よりじゃ一護」
「夜一さん・・・悪い、俺のせいで門が・・・」
「おぬしを責めても始まらぬ。門は再び閉ざされてしまったが相手が奴ではおぬしが飛び掛らずとも同じ結果だったじゃろう」
「そうそう、でも飛び掛るのは無謀すぎだけど」
「確かにそうじゃ。じゃがおぬしにケガがないだけでも良しとせねばな」
師匠が言い終わったあと後ろで足音がした
・・・敵・・・ではないな、霊力の欠片も感じられない
「人だ・・・」
そこらの民家からぞろぞろと流魂街に住んでいる連中が出てきていた
「なんだこいつら?今までかくれてたのか?」
「なんで・・・?」
「アホ、よく考えてみろ俺ら完全に不法侵入者だろうが」
「・・・どういうことだ?」
「当然じゃ。死神の導きなしに不正に尸魂界へ来た魂魄は『旅禍』と呼ばれ尸魂界ではあらゆる災害の元凶とされる」
「この人たちが俺等を恐れて身を隠すのは当然ってわけ」
「・・・敵・・・なのか?」
「さあな。じゃがこうして姿を見せたということは儂等に対していくらか心を許したということ・・・」
「まあ敵でもなんでもここにいるのはみんな力のないごく普通の魂魄、向かってきたところで俺等には勝てないよ」
「これ、そのようなことを言うでないわ」
「は〜い」
「す・・・すいません!とおしてください!すいませんとおして!」
人ごみの中から・・・たぶん小さな子供だろう、そんな感じの声が聞こえた
どっかで聞いたことあるんだけど・・・誰だっけな・・・?
「お・・・おじちゃん!!久しぶり!ぼくだよ!インコのシバタだよっ!」
出てきたのは結構前にチャドといた俺等が魂葬した男の子・・・シバタだった(まだチャドのことをおじちゃんだと思ってる)
「し・・・シバタ!?」
「シバタじゃん!ちゃんとやってるか?」
「うん!」
「そっか、ならいいんだけど」
「ちゃん・・・じだんぼうさんどうしよう・・・?あたしだけだと腕持ち上げられないから治せないんだ」
治療に取り掛かっていた織姫が申し訳なさそうに言ってきた
「あ、じゃあここにいる者全員で・・・は無理か。とりあえず力のある者だけでいい、じだんぼうの治療を手伝ってくれないか?」
「もちろんさ!そのつもりで出てきたんだ。喜んで手伝わせてもらうよ」
へえ、結構信頼性がいいんだねじだんぼうは
「じゃあ・・・そうだな、縄でじだんぼうの腕を持ち上げてもらうか。そうすりゃくっつけられんだろ?」
「うん!そうしてもらえるとたぶんできる!」
「じゃあ縄がある者はすぐに持ってきてくれ。準備が出来次第始める」
そう言うとほとんどの人が家にあたふたと戻っていった
「休憩ってことでいいですかね?」
「そうじゃの。、じだんぼうの治療の準備が終わったら長老の家まで来てくれ。侵入法を決めなければなるまい」
「・・・はい」
10分ほど立つとみんな帰ってきてじだんぼうの腕を引っ張りあげるところまで作業が進んだ
「舜桜・あやめ、双天帰盾、私は拒絶する」
織姫が回復系の力まで持ってるとは知らなかったけど
「スゲーな織姫、治癒能力もあるんだ」
「いやいや〜ちゃんほどじゃないよ!」
「は?俺なんもしてないよ」
「だってさ、さっきのちゃんかっこよかったよ?すぐにここの人たちまとめちゃってさ」
「ああ、さっきのやつ?あれねぇ・・・なんか仕事柄ああいう口調になっちゃってさ、嫌な癖だ」
「でもすごいもん!あたしだったらパニックになってたかもしれなかったしさ」
こういうのって周りから見たらすごいことなんだ・・・全然わかんなかった
まあ死神ってのは強さが全てだからしょうがないか
「じゃあ頑張って、俺はそういう力ないから」
「うん!」
俺は救護なんてできないから・・・織姫に任せるしかない
すごいなんて言われたけど皆の上に立って指示を出すことしかできない・・・ただの死神さ
治療の方は問題ないはずだ。今はどうやって侵入するかを考えなくてはならない
恐らく白道門は使えない。だから師匠も侵入法を新たに考えるのだろう
しかし・・・考える以前にもう残されたのはあの方法しかない
「・・・じだんぼうの治療は順調に進んでいます、師匠」
長老の家の中に入りながら報告した
「そうか、ご苦労じゃったな。ではこれからのことについてじゃ、いろいろ厄介なことになってしまったからのう」
「しかしギンがいたことはさすがに想定外、こうなったのは当然だと思います」
「確かにそうじゃ、しかし儂は初めからあんなに堂々と門を通ろうとは考えてはおらぬ」
「やはり・・・あの方法ではいるつもりだったんですね」
「そうじゃ、あそこで門に近づかなければ今ごろは到着できていたものを・・・」
「まあしょうがないじゃないですか。それに俺もどれほど自分が劣っているかを知ることができましたし」
ギンの攻撃は方法から能力まで全部わかってた。それでもあの攻撃には寸前まで気がつくことができなかった・・・
数十年と戦闘から退いてきたツケというやつか
「気に病むことではない。これからいくらでもその力は取り戻すことができる、今はルキアを助けることを考えるのじゃ」
「・・・はい・・・あ、それともう一つ」
「なんじゃ?」
「夜一様って呼びます。師匠って長くて言いづらいんで」
「様はないほうがいいんじゃがのう」
「ダメです。嫌でも呼ばせていただきます」
「ふう、しばらく見ない間にちと冷たくなってはおらぬか?」
「なってません」
その後は何もすることがないからゴロゴロしてた
夜一様に「修行せいっ!」って怒鳴られたけどさすがに断界のこともあって疲れたから結局何もしなかった
「・・・つまんない」
「じゃから修行せいと何度も言っておるではないか」
「なんか・・・いろいろ考えなきゃいけなさそうで・・・なんもやる気がおきません」
「利巧というかわがままというか・・・おぬしは昔からよく分からない奴じゃのう」
「あはは・・・もう暗いですしみんなに集まってもらったほうがいいですかね?」
次の目的地は決まっている、だったらそれを早く伝えないと。それにもう暗い
「そうじゃの、頼んだぞ」
「その必要はない」
急に後ろで声がした・・・チャドと石田、それに一護
「織姫は?」
「井上なら外でまだじだんぼうの腕の治療やってるぜ」
・・・頑張ってって言った俺が悪かったのかな?
「そろそろ戻るように言ってよ、織姫が倒れたらこの後が大変になっちゃう」
この先霊力が残っていないと・・・ルキアを助けるどころか一発で捕まっちまうだろうし
「ああ、じゃあ俺が行ってくる」
そういって一護は織姫の所へ歩いていった
これからのことを考えてみると・・・どうもここにいると上手く瀞霊廷内を調べることは無理そうだ
裏があると踏んだが旅禍騒動に関わってることが知れれば十三隊の資料庫への入室もできない
ましてや追われる羽目にまで発展すると調べるどころか今度は隊長格の連中とまで殺ることになる
面白そうだからこっちにしたけど・・・逆に厄介なことになったな
「お疲れ様井上さん」
あれこれ考えているうちに織姫が戻ってきていた
「織姫、お疲れさん」
「・・・揃ったな。座れ、これから我々のとるべき行動を話して聞かせる」
「行動・・・?」
「そう、簡単に言えば侵入方法だね」
「そんなの簡単じゃねえか。はあの門開けられんだろ?だったらそれで行けばいいじゃねえか」
言うと思った
「・・・旅禍が侵入すると厳重警戒態勢が置かれて侵入されかけた門は特に警戒されてるから・・・入ってもすぐに捕まる」
「要するに白道門の場所だけは警備が今までの何十倍にもなっているのじゃ」
「ということはもう直接門を突破する方法は得策じゃないってことですね」
「・・・というか元々儂はそんな方法が得策だなどとはこれっぽっちもおもっとらんかったがな!」
これは一護のこと言ってるな
「とにかくこうなった以上もうこの白道門は使えぬ!」
「他の門は・・・?」
「あーダメダメ、一番近い門でもここからだと十日かかっちゃうし。それだと時間がかかりすぎるでしょ?どこの門も使えないよ」
「そ・・・そんなこと言ったって他に方法が・・・」
方法がないならこんなこと話さないっての
「案ずるな。門がダメならもん以外から入れば良いだけのこと」
「門以外から・・・中へ入る方法・・・!?」
そんなに意外なことかな?成り行きからいってそれしかないと思うんだけど
「長老殿、志波空鶴という者の所在をご存知か」
「空鶴さん、確か西方郛外区に住んでたと思うんだけど・・・場所わかりますか?」
「志波・・・空鶴・・・あんたがた・・・まさかあれで壁の中へ入るつもりかね・・・!?」
だからそう言ってるじゃん
「何だ?あれって・・・」
答えようとした時に外からでっかい音が聞こえた
「な・・・何の音だ・・・!?」
「何だ?流魂街に暴力団でもできたのか?」
でも乗り物とかそういう音じゃなくて・・・なんか走りながら突っ込んでくるようなそんな足音に近い音のような・・・
ただこれ以上は何も考えなくてよかった
突然ドアが倒れてきたかと思うと人が突っ込んできたからだ
「ギャーー!!!」
「ににに人間だー!?人間が飛び込んできたー!!」
暴力団の正体はわかった、でもさっきの音の正体は・・・?
「イノシシだー!!イノシシも入ってきたー!!!」
そうかイノシシか・・・ってちょっと非常識だな
「やれやれ・・・また俺のボニーちゃんに振り落とされちまったぜ・・・よっ!久しぶりだなおっちゃん!!」
あとがき
最近中途半端で終わりすぎのような・・・ともかく岩鷲登場です(あんまし嬉しくない)
次で多分空鶴さん出ると思いますんで
では、ここまで読んでくださってありがとうございました!続きます!・・・だぶん
2006.3.11 煉城瞳
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