真っ白い床に、血が飛び散った
 返り血を浴びた部分から、生温い感触が伝わってきた
斬魄刀が、自分に突き刺さっている
 俺の握る斬魄刀が、相手の体を貫いている
目の前にあるのは、―――の顔
 俺を見おろしているのは、―――
意識が、少しずつ遠くなっていく・・・
 斬魄刀を引き抜くと、そいつは崩れるようにその場に倒れた







Page01_寝坊







ちゃん!!!!」



織姫の元気な叫び声で、ははっと目を覚ました




「あ、あれ・・・?こ、ここどこ?」
「えっっ!!」




織姫は目を大きくして、どうしたのっ!?とを覗き込んだ




「記憶喪失!?私のこと忘れた!?井上織姫だよ!?」
「・・・あ・・・、さっきの夢だったんだ」
「うん?よくわかんないけど、多分そうだよ!!」



のんきに納得する織姫を横目に、ボフッ、と布団をかぶった




どういうことだろう



最近、妙な夢ばかりを見る
自分が殺されたり、殺されたり、殺されたり・・・




まあ、夢だからいいんだけど、正直、いい気分にはならない
相手の顔だけがいつもぼやけている、というか起きたときには覚えていないのがせめてもの救いだ




神様、私は何か悪いことをしましたか。と本気で問いたくなる





「ってそうじゃなくて、ちゃん!!」






織姫が慌てて一向に動く気配がないの布団をめくった
突然体が外の冷気に触れて思わず身震いする
ちょっと冷房つけすぎたかな





「うーん・・・。もうちょっと寝る・・・」
「今日学校だよ!?はやくしないと遅刻!!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」



変な沈黙が流れた





「・・・今何時」
「えっと、チャイムまで、あと15分くらい」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「うそぉおおおおおおおおおお!!!!????」





近所迷惑じゃないかと思うくらいの叫びを上げて、は飛び起きた


小さい頃から一緒に暮らしていた織姫は、特に驚くような素振りもせず
ただ「ちゃん急いで!」と更に釘をさす





「なんで織姫起こしてくれなかったの!?」
「えっと・・・、いつものことだからいいかなぁ・・・、とか思っちゃって・・・」





てへへ、と頭をかく織姫に怒る気も失せ(というか起きなかった私が悪いんだから)
光速の如く制服姿に身を包む
一分もしないうちに完璧に身支度を整えたに、
織姫はいつものことながらパチパチと拍手した





「行くよっ、織姫!!」
「え?でもちゃん、ご飯・・・」
「そんなものは気にしてられーーーん!!!遅刻したら成績が・・・成績がっっ!!!」





真っ青になり、マイ・オールファイヴが!!!!と叫んで、
織姫の腕をつかむと、そのまま家を飛び出した



















おーれーたー、淡い翼ー。君はすk




ピッ(バンッ






スゴイ音量の携帯の着メロが、破壊通話ボタンを押す音で止まった




音を止めた手はベッドの中から伸びており、携帯をつかむと、その人物はゆっくりと体を起こした
そのまま、ダルそうに携帯に顔を近づけると







「只今眠いため、電話に出ることが出来ません。ピーとなったら電話が切れますので、おかけ直しください」




と、わけの分からないアナウンスを受話器の向こうへ流した






うおぉい!!ねェよ、んな留守電サービス!!





案の定、受話器から反発の声が響く
だがそんな声には構わず、アナウンスを流した本人は





「ピー」




と言って、通話を切ろうとボタンに手をかける







『ま、待て!悪かった、俺が悪かった!!』






それを悟ったのか、再び受話器から叫び声が聞こえた







「・・・・・・あれ・・・一護か?」





と呼ばれた人物―――は、ようやく電話の相手に気付いた








『そうだよ、俺だっての』
「オレオレ詐欺みたいだから、騙される前に切るぞ」




どうやら寝ぼけているようだ






『違う!!黒崎!黒崎一護だッ!!』





さっきから必死に受け答えをしている、この哀れな人物
名前を黒崎一護。の幼なじみだ






「あー、ハイハイ。黒崎君ですねェ。じゃ、さいなら」




はどうしても電話を切りたいらしい






『だから待てっての!!・・・あ・・・・・・お前、今起きたのか?』





思い出したように一護が言う
それに対して







「ああ。お前のうるさいモーニングコールで起きた」




と、棒読みで答えた






一護がなぜ、が寝起きと見抜いたか
これについては、付き合いの長い者なら誰でも知っている




は、寝起きの機嫌がメチャクチャ悪い







『やっぱりな。まぁ、それは後でいいんだが・・・・・・』





またに電話を切られないように、言葉を選んで話す





『お前、裁縫できたっけか?』
「できるわけねェだろ」





即答する
あまりにも速かったので、一護は黙ってしまった







「分かりきってること聞くなよ。どうしたんだ?」


『いや・・・いつも通りお前んちの下行くから、そこで話す』






その後、お互いに「また後で」といって、通話は終わった





は壁にかかっているフックから制服を取り、ワイシャツを羽織ってズボンに足を通した
ポケットに携帯をしまい、ベットに腰をかける



準備完了


後は、いつものようにベットに腰掛けて、一護を待つだけでいい








あー、新学期か・・・・・・





そういや、あの夢何だったんだろ





そんな中、ふと、は思った







全く進まない夢



最後に俺が誰かを刺し殺して終わる。それ以上は進まず、それ以前もない
相手は誰だか分からんが、目が覚めてもいい気分がしない



当たり前だ。夢とはいえ、人を殺したんだから




とりあえず、頭の中に殺戮本能が眠ってるんだと無理やり納得している
だが、殺す相手が変わらないのには納得がいかない




結局の所、意味不明・・・・・・










「・・・・・・おーい・・・」



そんなの耳に、微かに音が入る



「・・・聞こえて・・・か・・・・・・・」



どんどん音は近くなっていく
しかも、この音・・・と言うか声には聞き覚えがある



これは・・・・・・



ーッ!!」







外から声がした
慌てて窓を開けると、そこには一護が息を切らして立っていた






「やめろ、近所迷惑だ」


「バカ!!何度呼べば出てくるんだ!!時計見ろ、時計!」






言われて、はこの日初めて時計に目をやった
壁にかかっている時計に焦点が合った途端、の顔は見る見る青ざめていく







「ば、バス来ちまうじゃねえか!!何でもっと早く来ないんだよ!」




どうやら、いろいろ考えているうちに予想以上の時間が流れていたらしい
早く来いと一護に言われ、は慌てて玄関を飛び出す





無言で一護と合流すると、二人はバス停めがけて走っていった


















「いやー、危なかったなァ一護」


「誰のせいだと思ってんだよ。間に合わねえからって次のバス停まで走らせやがって」






俺のせいじゃねえ→お前が遅れたんだろ→バス停着いたのはお前の方が遅かった→お前のせいだ→いや、お前だ→・・・・・・。






とまあ、ギリギリ間に合った二人
エンドレスかつ不毛な争いを続けながらも、自分達の教室へ向かって歩いていく









と、そこへ






「イ〜〜〜〜〜〜チ〜〜〜〜〜・・・・・・」







よくわからない言葉とともに、前方からこちらへ走ってくる影一つ
そして、二人のすぐ近くまで来ると






「ゴゥ!!!」




「おーす」






一護にあっさりカウンターをくらい、声の主・・・浅野啓吾は床に倒れた










夏休みが明けたところで、人間は変わらんなとは思う







「ひ・・・ひさしぶり一護、・・・・・・そして俺・・・」







かわされてもなお話し続けようとするのにはアホらしさ反面、感心するようなしないような
とりあえず心配無用なので、ちゃっちゃと先へ進む








「おはよう、一護、




今度は、水色が話しかけてくる







「おーす、水色」


「おはよ」




今度は啓吾のように流すことはせず、きっちり返事をした













「―――見えるのか?」




たつきが口を開こうとしたその時、だった


始業のチャイムが鳴り始めると共に、教室の入り口がスターンと勢いよく開く



「急げ、井上!!!!!」




越智が廊下の方を向いて手を振り回しながら応援する




「・・・」



がまた今日もか、と呆れたような顔で入り口の方を向いた

飛び込んでくる、二つのオレンジ色




チャイムが終わるか終わらないかのところで、と織姫は勢いよく着席した



越智がグッジョブ!と親指を立てている
こんなことは日常茶飯事で、殆どの生徒は顔色一つ変えなかったが






そんな様子にも慣れたのか、越智が教卓の前に立った






「おーし!!!一人も欠けずに揃ってるな!感心感心!!」






大島と反町がいないけど、あいつらはヤンキーだからまあいいか!!と言うセリフには、さすがに生徒全員が心の中でツッコミを入れた










「・・・・・・完璧だ・・・」



満足げな表情の眼鏡男1名
今にも笑い出しそうなヤツ2名

感心するバカ2名






「何が完璧かコラァ!!アレか!!完璧にダサいって事か!!あァ!?」



暴れるぬいぐるみが1匹





「ダッセー!お前だとよりダセぇ!!」



ファンシー路線がどうだか言っているコンのわきで、は大笑いしていた





「あ!!でも後ろに十字架ついてるよ!!私のネックレスとお揃いだよお揃いっっ!!!!」




100%慰めっぽいけど、は超大真面目
当のコンは、十字架には気付かず鬣兼レースに嘆いていた
















結局、フリフリはコンの強い願望によって取り外されることになり、
滅却師の十字はの強い願望によって残されることになった
結局、当のコンは気付かず



―――あのレースも結構かわいかったんだけどなぁ

―――あのレースは爆笑モンだったのになぁ





前後の席にいるは違う意味でため息をついた





「偏平足の平に」





ききなれない声には顔をあげる
金色のパッツンヘアー。Yシャツの裾がびろんと出ている




「小野妹子の子。真性包茎の真に、辛子明太子の子で、平子真子でぃす」





よろしくー、と頭を下げる平子の後ろの黒板には反転して書かれている『平子真子』の文字があった



「・・・アートだ・・・!!!」
「アホか」



が目を輝かせる後ろで、がつまらなさそうに呟いた



「逆さまっつっても逆になってんの子って字だけじゃねーか」




確かに・・・、と落胆した声が聞こえた












「今思ったんだけどよー」


昨日に引き続き、一護の部屋
遊子に出してもらったジュースを啜りつつ漫画を読むに、一護が問いかける




「代行証にマナーモード的なものはついてねえのか?」

「大根?俺、大根おろしはやだなー」

「・・・・・・。」



Myワールドにいるため、他のワールドからの交信不可といわんばかりに話がかみ合わない




「・・・飯食ってくか?」
「食う」


交信開始




「マナーモードのついてる代行証なんかくれるわけないだろ」


だよなぁといって、一護は自分の分のジュースを飲み始めた
も漫画に目を戻し、部屋は静かになった



すると突然




「ホロ゛ーウホロ゛ーウ」


代行証の呼び出し音が部屋中に鳴り響いた




「・・・おーう。いい加減慣れてきたなコイツにも」
「慣れてもやかましいってーの」



文句を言いつつ一護は代行証をつかみ、死神へと変わった
更に、近くで暴れていたコンに代行証を押し付けて義魂丸を取り出し、魂の入っていない自分の体へと移す




「この前は寝てたからなぁ」


そういいながら、は一歩前へ進みでるように肉体から抜けた




「じゃあな!帰ってくるまでよろしく頼むぜ」
「俺の体、押入れにでも入れといて」


最後に一護が、バタバタ暴れんじゃねーぞ!いいな!と言い残して、二人は窓から出て行った



「りょうかぁーい。ごゆっくーりー」


コンの・・・一護の顔に不適な笑みが浮かんだことを、二人は知るよしもない






「よーし、こんなとこか!」


黒崎家を出てすぐに、目的の虚は見つかった
よくいる普通の虚だったのでは手を出さず、一護の一振りで虚は消えた



「帰ろーぜ。腹減った」
「そうだな」


そう言ってきた道を戻ろうとしたとき






コツ



背後でかすかな足音がした
それと同時に、感じる強い霊圧



驚いて振り向いた一護に、鋭い刃が振り下ろされる



二人の目に映ったのは・・・・・・






「てめえっ・・・・・・平子・・・!?」




今朝転校してきた、平子真子だった





あとがき
瞳との合作です!!
私の担当は、破面ヒロインのさんになります。
まだまだ及ばない部分もありますが、頑張りますので宜しくお願いします!!
余談ですが、これを書いたとき、ネットに繋げず、つまりDreamMakerが使えず、
ソース全部手打ちでした・・・。大変だった・・・。(晴天)
合作って大変なんだなァ
担当はで、死神側のヒロイン(?)です
こういうヒロインはメチャクチャ書きやすいです(伊集院)
では、ここまで読んでくださってありがとうございました!
次回の担当は晴天マユミです!
2008.2.29 晴天マユミ・伊集院瞳
/White & Black/