「ねぇ、」
僕はソファーに寝転がるに話しかける
既に下校時間は過ぎている
風紀委員も、放課後の見回りを終わらせ、学校から去っていた
「なんで、ここにいるの」
「なんで、って」
手元にあった携帯を閉じ、ゆっくりと体を起こす
(本当はそんな不要物、没収するべきなんだろうけど。だから許してあげるよ)
「傘、忘れた」
少しも悪びれた様子もなく言い放った
そんなことだろうとは思ってたけど
窓の外に目を向けると、一向に止みそうにない雨が地面をうっていた
はぁ、と一つ、息をつく
でも正直、彼女にこうして同じ空間にいられると、終わる仕事も終わらない
かといって、追い出すつもりもないから、書類に目を通した
「雲雀」
ふと、顔を上げると綺麗な顔が目の前にあった
(綺麗、というより可愛い、の方が合うかもしれない)
「なんか手伝おっか?」
「・・・・・・」
無言で書類を差し出す
はパラパラ、とめくったあと、あからさまに嫌そうな顔をした
「何これ・・・。風紀委員ってどんな仕事してんの・・・」
「見ての通り。風紀を乱す奴らの制裁」
「制裁なのかこれ!?」
「文句言うんだったら帰ってもらうよ」
「げっ!それ勘弁!風邪引いたら雲雀の所為にするからね!」
「・・・・・・」
無視した
いちいち付き合ってられないよ
はしばらく僕を睨みつけたあと、椅子を持ってきて、僕の隣に座った
「ねぇ、」
「うん?」
さっきもあったやりとりのあと、
「君にいられると、集中できない」
思わず口走ってしまった
そのあと、後悔した
いくら鈍感なだからって、こんなの、告白にしかとれない
はしばらく目をぱちくりさせる
そして、思いついたように慌てた
「あ、ごめん!!スペースとりすぎた!?」
そそくさと自分の書類を手元に集め、椅子を移動させる
僕も、こればかりには耐え切れなかった
(まあ、耐え切れないことは他にもたくさんあるけど)
「、鈍感にも程があるよ」
そう言うと、ぽかんとした表情のを自分の方に引き寄せた
「ちょっ、雲雀っっ!?」
「ねぇ、僕の嫌いなこと、知ってるよね?」
腕にすっぽり収まったままの彼女の顔を、自分の方に向かせる
「む、群れること・・・?」
「当たり」
そのまま、に口付けた
「んっ!?」
軽いキス
「ひひひひひ雲雀先輩っっ!!??」
「口調が元に戻ってるよ」
真っ赤になった彼女に、思わず口元が緩む
「僕、群れることが嫌いだって言ったでしょ?でも、さっき気付いた。鈍感すぎるのも、苛々する」
「はっ、はい?」
「君のこと。気付いてよ。好きだよ、」
そう言うと、はこれ以上ないくらい顔を赤くした
口をぱくぱくさせるだけで、反応できないようだ
一分経っただろうか
やっとが話せるまでに回復した
「雲雀、ずるい!!」
いきなり指で僕を指した
(とはいっても、僕が抱きしめてるから、腕はまっすぐにはのばせていない)
「やっと同じ学年になったと思って、やっと敬語もいらなくなって、やっと雲雀に近づけて、」
は一旦息を吸った
「やっと気持ちを伝えようとしたのに、なんで先に言うの!!」
そのまま、僕の肩に顔を埋めた
そのまま、どちらも口を開かないまま、しばらく空白の時間が流れる
すると、が今度はいきなり顔を上げた
「言わせて」
「何を、」
「雲雀が私のこと好きだったら、私は雲雀が大好きだから!!」
顔を赤く染めたままのが可愛くてしょうがなかった
後頭部を手のひらで抑えて、僕の胸に埋める
「ありがとう」
空をどんよりと包んでいた雨雲が少し、千切れ始めている
結局僕らは、
雨が止むまで此処にいた
(さっき、僕のこと大好きって言ったよね)
(・・・うん)
(だったら僕は、のこと愛してる)
あとがき
雨宿り。正直応接室しか思いつかなかったって言う(爆)
雲雀さんは何年も学校にいるから、同じ学年になったりします・・・よね。
読んで下さってありがとうございました!
2008.3.6 晴天マユミ