彼の部屋を、飛び出した


酷い。酷すぎる



仮にも恋人である私に向かって、「人間の女の世話をする」と


ましてや、なかなか面白い女だ、といった彼の表情は、
私にもめったに向けられるものではなく



それだけで、私を泣かせるには十分な理由で



「ウルキオラの・・・、ばかぁっ・・・」




自室に飛び込んで、ベッドにダイブした






自分でも、霊圧が震えているのがわかる
世話をする、と告げられただけでここまで動揺している自分に、思わず苦笑が漏れた








「ウルキオラ・・・」






思えば、付き合い始めてから、ずっと自分の世界はウルキオラ中心に回っていた気がする
同じ十刃なだけあって、行動も殆ど一緒だったし、
寧ろ、数字持ちになって、ウルキオラの従属官になりたいとか思ったこともあるし

(真顔で、それもいいかもな、なんて言われた時は、本当に心臓止まるかと思った)



今の気分を色で表すとしたら、青が相当ピッタリだ
いや、それよりタチが悪い
黒に粘土入れてドロドロにして、ありとあらゆる色を注ぎ込んだ色に違いない


その結論に無駄に納得した自分を虚しいと思いつつも、
いつまでも悩んでいるわけにもいかないから、開き直ることにした



「そっちがその気なら、私だってアポロチョコと付き合ってやる!!」
「誰と付き合うと?」





突然、ぐん、と現れた霊圧に、思わず体を震わせた



今、一番会いたくない人の霊圧




「ウルキオラ・・・」
「・・・・・・」





彼が無言で私の前に来たと思ったら、いきなりベッドに押し倒された





「ちょ、ウル、っ!?」




彼の、黒く塗られた指が皮膚に食い込む


痛い





ウルキオラの顔を見て、私は思わず小さく声を漏らした





今まで、見たことのない眼をしていた


表情はごく稀にしか変わらない
だから、いつも私は眼から彼の感情を読み取る




今の彼は、
怒っていそうで、しかしどこか哀しげな



「ウル、キオラ・・・」
「今度、俺の前で俺以外と、などとふざけたことをいったら」




殺してやる、と囁くように言った




自分が十刃であることに感謝した
普通の破面だったら、これだけの霊圧があれば、魂が潰れるに違いない
(それほどの禍々しい霊圧を放っているのだ、彼は)








笑うところじゃない
わかっていた

だが、どうしても口元が緩んでしまう




「・・・何がおかしい」




今度は、不愉快で、不可解だといわんばかりの眼光を私にぶつけてきた




「ん、ウルキオラって、案外私のことちゃんと考えてくれてるんだって思ってね。安心した」




そういうと、今まで無表情でいた彼が一瞬目を大きく見開いた
そのすきに、ずっと腕をつかんでいたウルキオラの手から逃れ、隣の空きスペースに移動する




「その子世話するの、許してあげてもいいよ」
「お前などに許しを得る筋合いはない」
「そう。まぁ、いいけどさ」





でも、と言葉を続ける





「私の前で私以外と、なんていったら、殺すよ?」





ウルキオラは、珍しくフッと笑った





「お前にできればの話だがな」





そのまま、いきなり抱きすくめられた




「・・・心配する必要はない」






俺の中心は、、お前だからな





同じことを、想っていてくれた





「約束。これからもずっと離れない」
「俺は最初からそのつもりだったがな」
「じゃあ、約束してくれる?」
「もちろんだ」



小指を交差させる



そして、




君との約束を想いながら
眠りについた
(ていうか、アポロチョコにはつっこまなかったね、ウルキオラ)
(ああ・・・、そこまで神経を働かせていなかった)
(それだけウルキーも動揺してたんだ!!)
(・・・っ・・・。その呼び方はやめろ・・・)




あとがき
そして、名前変換が一個しかないっていう(本当にすみません・・・!!)
あまりに申し訳ない・・・!!!そのうち、ウルキオラ視点・・・、書きます・・・!!
これ・・・、本当は別のお題で使うつもりだったんですけどね・・・。
虚圏ってなかなか天気の変化がないから、
書きにくい・・・、です。取り敢えず、突発的にウルキオラを。
読んで下さってありがとうございました!
2008.3.7 晴天マユミ